回収箱に使用済みの使い捨てカイロを入れる生徒ら=日置市の伊集院高校
鹿児島県日置市の伊集院こどもふれ愛食堂は1月、市役所や市内の商業施設など51カ所に使用済み使い捨てカイロの回収箱を設置した。松木薗利範事務局長(67)は「カイロに使われている鉄の粒は、水を浄化する作用があると聞いた。環境保全のため協力してもらえるとありがたい」と呼びかけている。
城山観光(鹿児島市)が社内で持続可能な開発目標(SDGs)に関する取り組みを募集し、出たアイデア。SDGs推進室の安川あかね室長(47)によると、回収された鉄は加工され2025年の大阪・関西万博会場周辺を流れる川の水質改善などに使われる。
同社は「子どもたちが万博に何らかの形で関わった、という思い出になるのでは」と22年12月、「かごしまこども食堂支援センターたくして」(同市)を通じ県内約40の子ども食堂にカイロ450個を寄付。回収の協力を求めた。
取り組みに賛同した松木薗さんは日置市の日之出紙器工業に依頼し、段ボール製の回収箱を100個製作。市役所などに許可をもらい設置した。伊集院高校で箱にカイロを入れた2年植村文香さんは「環境問題は普段あまり意識しないが、こういうきっかけがあると取り組みやすい」と語った。
城山観光は、「たくして」に集まったカイロを回収し全国的に活動を展開している「Go Green Group」(大阪市)の愛知県にある物流センターに送る。安川室長は「捨てればただのごみ。多くの方に知ってもらい、活動が広がればうれしい」と語った。