戦艦大和、軽巡洋艦矢矧ら第2艦隊の戦没者へ…歴史語り継ぎ、平和を誓う 枕崎と伊仙で慰霊祭

2023/04/09 20:55
大和が沈没した海域に向かって黙とうする参加者=7日、枕崎市火之神岬町の平和祈念展望台
大和が沈没した海域に向かって黙とうする参加者=7日、枕崎市火之神岬町の平和祈念展望台
 太平洋戦争末期の1945年、戦艦大和を含む旧海軍第2艦隊の6隻が没した坊ノ岬沖海戦から78年となる7日、鹿児島県枕崎市火之神公園内の平和祈念展望台で戦没者の遺族ら約100人が慰霊の祈りをささげ、平和の誓いを新たにした。

 海戦があった海域を望む展望台では、地元のNPO法人・平和祈念展望台奉賛会が白菊を用意。全国から訪れた遺族らが「鎮魂之碑」に献花し手を合わせた。

 雨が上がった午後、まず軽巡洋艦矢矧(やはぎ)が沈没した2時5分、続いて大和が沈没した同23分に海に向かって全員で黙とう。その後、トランペットで「海ゆかば」が演奏されると静かに口ずさむ参列者も見られた。

 展望台にある慰霊碑の中には、矢矧の生還者で昨年5月に98歳で亡くなった著名な建築家・池田武邦氏が建てたものもある。南日本新聞の連載小説「鋼鉄の要塞」の冒頭で同氏が登場することから、感慨深げに眺める関係者もいた。

 奉賛会副理事長で池田氏と親交のあった大保博栄さん(72)=長崎県佐世保市=は「測的長として厳しい戦闘も経験したはずだが、穏やかで人間的魅力のある人だった。歴史を知る人々が次々に亡くなっていく。何とか伝えていかなければ」と話した。

 伊仙町伊仙の総合体育館でも、島民や自衛官ら約150人が参列し、沈没時刻の午後2時23分に戦没者3737人へ黙とうをささげた。

 大久保明伊仙町長が「わが国の繁栄は、尊い犠牲の上に築かれた」と感謝。航空自衛隊第9航空団司令の鈴木繁直空将補が「南西地域の全自衛官は、国防の使命を担うため挑戦と努力を重ねていく」と誓った。

 今年で56回目。雨天のため犬田布岬の慰霊塔前から場所を移し開催された。伯父の金田勇さんが大和で主砲の砲弾管理責任者だった兵庫県三田市の金田克明さん(67)も参列。「戦争を起こさないで。その思いを伝えるため来島した」と話した。

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