回転ずし店で女性が喉を詰まらせ心肺停止…命の危機を救ったのは元自衛官のアルバイト、スマホを使った好判断に消防局が感謝状 霧島市

2024/08/11 11:30
川崎敏朗消防局長(左)から感謝状を受ける野里怜央さん=霧島市消防局
川崎敏朗消防局長(左)から感謝状を受ける野里怜央さん=霧島市消防局
 鹿児島県霧島市消防局は6日、映像通報システム「Live(ライブ)119」を使って高齢女性を助けた市内の男性に感謝状を贈った。ライブ119は通報者のスマートフォンを使って救急現場の情報を映像で伝えられる仕組み。市消防局は2月から実証運用中で、後遺症なく社会復帰につながった事例は今回が初めて。

 表彰を受けたのは、同市国分広瀬1丁目の鹿児島第一医療リハビリ専門学校1年、野里怜央さん(23)。

 野里さんは4月20日午後2時ごろ、同市の回転ずし店でアルバイト勤務中だった。食べ物を喉に詰まらせた80代の女性客がトイレで倒れているのを同僚が発見。近くにいた店長が119番し、スマホから現場映像を中継し市消防局情報司令課とつないだ。

 野里さんは専門学校に入る前まで陸上自衛隊国分駐屯地の自衛官で、救命の心得があった。市消防局の指示に従い、救急隊が到着するまでの間、心肺停止状態だった女性に約5分間心臓マッサージを続けた。女性は病院に搬送されたが数日後退院し、後遺症なく回復した。

 川崎敏朗消防局長(59)から感謝状を受けた野里さんは「誇りに思う。女性が助かったのが何よりほっとした」と笑顔。現在は理学療法士になるのが目標で「これからも多くの人を助けたい」と話した。

 指示を出した今村公俊(まさとし)第二通信係長(48)によると、心肺停止状態が5分以上続くと脳に障害が残るケースが多いという。「素早く的確に救命措置をしてくれたおかげで、女性は今も普通の生活が送れている」とたたえた。

 市消防局によると、7月末現在で現場映像が取得できた救急救命事案は44件だった。

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