青色LED「21世紀照らす」功績 ノーベル賞・赤崎勇さんをしのぶ会 名古屋 「諦めない心がもたらした」 故郷・鹿児島時代も紹介

2021/11/23 11:00
多くの関係者が参列した赤崎勇さんをしのぶ会=名古屋市
多くの関係者が参列した赤崎勇さんをしのぶ会=名古屋市
 青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞を受賞し、4月に92歳で死去した赤崎勇さん(鹿児島県南九州市知覧出身)をしのぶ会が22日、名古屋市のホテルで開かれた。遺族や産官学の関係者ら470人が参列し、「21世紀を照らす」とたたえられた偉大な功績とともに温かな人柄に思いをはせた。

 赤崎さんが所属した名古屋大学、名城大学と、共同研究した豊田合成の共催。穏やかな表情の写真が掲げられた祭壇前には多くの関係者が並び、次々に花を供えた。

 会場にはメモリアルコーナーも設けられ、ノーベル賞のメダルや学生時代の写真パネル、青色LED実現の基礎となる窒化ガリウムの結晶化に関する実験ノートなどを展示。生前に交流のあった人々らが足を止めて見入っていた。

 「青色LEDの開発は先生の諦めない心がもたらした」。教え子でノーベル賞を共同受賞した天野浩・名古屋大学教授は信念をたたえた。人柄にも触れ「受賞後の講演で学生の質問にニコニコして答えていたのが印象的。学生を怒ったのを見たことがない」と語った。

 会場には古里鹿児島への思いもにじんだ。友人たちと写った鹿児島二中(現甲南高校)や旧制七高(現鹿児島大)時代の写真、甲南高など地元に設置された記念碑の写真も展示。参列者に贈ったオリジナル図書カードの半数には桜島の写真が用いられた。

 遺族は、赤崎さんの自宅には知覧の武家屋敷や桜島の絵や写真が飾られ、友人との交流も続けていたとして「どこにいても心にはいつも鹿児島があった」と振り返った。

 また、多くの研究者が断念する中で困難な研究を続けた赤崎さんが「1人荒野を行く」と言っていたことについて、「本当は1人ではなく皆さまと一緒に進んで行ったと(本人が)一番分かっていたと思う。その生涯は皆さまと出会い、信じた道を一心に進むことができた幸せなものでした」と感謝した。

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