情報提供を呼びかける市川健一さん=12日、日置市吹上町中原
1978年8月、鹿児島県日置市の吹上浜で市川修一さん=当時(23)=と増元るみ子さん=同(24)=が北朝鮮に拉致されてから丸44年を迎える12日、県警や地元住民ら約60人が現場近くで通行車両に情報提供を呼びかけた。市川さんの兄健一さん(77)=鹿屋市輝北=も3年ぶりに参加、「拉致問題を忘れないでほしい。ささいな情報でも寄せて」と訴えた。「弟に会いたい」と涙ぐむ場面もあった。
活動は拉致事件の風化防止などを目的に実施。昨年と一昨年は新型コロナウイルスの影響で規模を縮小して県警のみで行った。県警の山田好孝本部長や日置署管内沿岸防犯協力会長の永山由高市長らが、広報用ティッシュやチラシを運転手に手渡し、協力を求めた。
警察庁時代に拉致問題を担当した山田本部長は「被害者や家族の高齢化も進み、一刻の猶予も許されない。全容解明に向け捜査を推進していく」と話した。
るみ子さんの弟照明さん(66)=東京都在住=はJR有楽町駅前で同志と街頭に立ち、拉致被害者全員の早期救出を訴えた。拉致事件が一向に解決を見ない現状に不満を示し、「政治家は国民の声が大きくならないと動かない。署名に協力してほしい」と呼びかけた。