1939年築の国登録文化財、近く解体予定「同じ物、二度とできない」「収益の仕組み必要」 観光アドバイザーら討論、市民100人集う 鹿児島市の県民教育文化研究所

2022/08/29 11:44
11月にも解体される予定の鹿児島県民教育文化研究所=6月、鹿児島市春日町
11月にも解体される予定の鹿児島県民教育文化研究所=6月、鹿児島市春日町
 古い建物や街並みの活用を語り合う「ヘリテージトーク」が21日、鹿児島市のかごしま県民交流センターであった。近く解体予定で国の登録有形文化財に指定されている鹿児島県民教育文化研究所(鹿児島市春日町)の現状報告などがあり、100人を超す市民らが集まった。

 同市出身のプロデューサー、砂田光紀さん(58)の呼びかけで観光業、マスコミ、音楽家など多様な職種の5人が登壇し討論した。福岡県飯塚市の観光アドバイザー瀬下麻美子さんはNHKドラマ「花子とアン」ゆかりの旧伊藤伝右衛門邸が保存された経緯を紹介し、「壊すのは簡単だが、同じ物は二度とできない」と指摘。鹿児島県内の観光施設で働く英国出身のアレックス・ブラッドショーさんは「英国にも古い建物は多いが、観光活用など収益の仕組みがなければ残すのは難しい」と語った。

 参加者から「解体は寝耳に水。何とか残したい」「ゲストハウスやホテルに使えないか」との声が上がった。砂田さんは「予想外に多くの人が関心をもっていた。建物の価値を追求し、活用のアイデアを伝えたい」と話した。

 同研究所の建物は1939年(昭和14)年、雑貨商、藤武喜助氏の自宅として建築。意匠を凝らした欄間や柱などが残る。戦後は県教育会館維持財団が取得し、地方の教職員や児童生徒の宿泊所として利用された。今年7月、同財団が老朽化のため解体を決めたことが明らかになった。

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