荒崎休遊地の上空を飛ぶツル=7日午前7時40分ごろ、出水市荘
出水平野で越冬するツルの羽数調査が7日、鹿児島県出水市の荒崎と東干拓の両休遊地であり、1万74羽を記録した。今季は相次ぐツルの高病原性鳥インフルエンザ感染や悪天候の影響で昨年11、12月の計4回が中止され、今回が最初で最後の調査となった。昨季の確定値1万6840羽より6000羽以上少ないものの、26季連続で1万羽を超えた。
鶴荘学園と高尾野中学校の両ツルクラブ、県ツル保護会の約100人が午前6時半ごろから、ねぐらを飛び立つツルの数を計測した。内訳はナベヅル7686羽、マナヅル2377羽、クロヅル4羽、カナダヅル3羽、ソデグロヅル、ナベクロヅル各2羽。昨季1月9日の調査は1万4671羽だった。
鶴荘学園9年の荒木丈之介・ツルクラブ部長は「早く調査したかった。今季は1回しかできず残念だったが、1万羽を超えてよかった」と振り返った。保護会の堀昌伸事務局長は「長年継続してきた国際的な学術記録が途切れることなく取れた。環境省などと連携し、分散化の取り組みも進めたい」と話した。
今季のツル初飛来は10月12日。11月に入って鳥インフルエンザが拡大し、ツル博物館クレインパークいずみに「ツルが数百羽単位で北上している」などの目撃情報が同月中旬以降、県内外から寄せられた。韓国南部・順天(スンチョン)の越冬地に、一時は例年の約3倍、約1万羽が集まっているとの報告もあり、専門家は「緊急避難している可能性がある」と分析した。
正確な数は分かっていないものの、韓国側からはその後、同館に「数が減ってきた」との連絡が入った。保護会によると、足輪を付けたナベヅル2羽が出水に渡った後で韓国北部・浅水湾(チョンスマン)に移動し、再び戻ったことが確認されている。12月以降は例年通りマナヅルが飛来してきたという。