除幕した慰霊塔の前で読経する僧侶=鹿児島市上竜尾町の南洲公園
西南戦争の民間犠牲者を弔う慰霊塔が鹿児島市上竜尾町の南洲公園に完成し、除幕式が19日あった。約60人が死を悼み、戦禍に苦しむウクライナやミャンマー国民にも思いをはせた。
慰霊塔は1877(明治10)年の西南戦争から145年の節目の2022年9月に建立。最大の激戦となった熊本の「田原坂の戦い」(3月4~20日)に合わせ式を開いた。有志でつくる「西南之役恩讐(おんしゅう)を越えての会」などが主催した。
同会長で歴史研究家の原口泉氏(志學館大教授)らが宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」との言葉を刻んだ塔を除幕。参列者は鎮魂歌や平和を願う音楽に耳を澄ませた。
原口氏は「塔の建立で、民間犠牲者へせめてもの責務を果たせた。同じ過ちを繰り返してはならないというメッセージを世界に発信できる」と話した。
西南戦争は政府と西郷隆盛など旧士族らが戦った国内最大規模の内戦。1万3000人以上の死者を出した。民間人の犠牲者数は分かっていない。