南日本新聞社は3日の憲法記念日を前に、憲法問題に関する世論調査を鹿児島県民に実施した。憲法改正が必要と答えた人は60.8%で前年より9.1ポイント増え、9年ぶりに6割を超えた。5割を上回ったのは3年連続。改正は必要ないとした人は34.3%で、改憲派と護憲派の差は26.5ポイントと前年より13.3ポイント広がった。9条見直しは賛成、反対ともに47.8%ときっ抗した。
岸田文雄首相が就任後、初の調査。ロシアによるウクライナ侵攻などもあり、憲法のあり方に関心が高まっているとみられる。ここ最近では衆参の憲法審査会が毎週開かれ、憲法改正手続きに関する国民投票法改正案が審議入りするなど、積極的な論議が進んでいる。
調査の回答は、改憲の必要性が「ある」16.5%、「どちらかといえばある」44.3%。「どちらかといえばない」22.5%、「ない」11.8%。「分からない・無回答」5.0%だった。
改正が必要な理由では、毎年最多の「憲法の規定が時代に合わなくなっている」が59.2%で前年より5.1ポイント減。「新たな権利や義務を盛り込む必要がある」が27.9%で前年より5.4ポイント増えた。「占領下に米国主導で制定された憲法だから」は8.6%。
改憲の必要がないとする理由では、「平和主義と戦争放棄を掲げている」が36.6%。前年より2.1ポイント減ったが、2年連続で最多だった。「今の憲法で不都合なところはない」は35.0%で前年比7.8ポイント増。「解釈次第で情勢の変化に対応できる」が19.9%で続いた。
戦争放棄と戦力不保持をうたった9条の見直しは「賛成」20.8%、「どちらかといえば賛成」27.0%。「どちらかといえば反対」23.4%、「反対」24.4%だった。「分からない・無回答」4.4%。
憲法改正に関心が「非常にある」「少しある」は計66.1%で、前年から4.8ポイント増えた。「あまりない」「関心はない」は計32.9%で4.0ポイント減。「分からない・無回答」1.0%。
南日本新聞社は2007年以降、毎年4月に憲法に関する県民意識を継続調査している。
▽調査の方法 鹿児島県内の有権者(18歳以上)を対象に4月14~17日、コンピューターで無作為に発生させた固定電話の番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1269件。うち1025人から回答を得た。