原爆ドーム=広島市中区(資料写真)
ウクライナのゼレンスキー大統領がG7広島サミット後に広島市で会見し、自国への支援を呼びかけた21日、鹿児島県内に避難しているウクライナ人は、戦争終結に向けた動きにつながってほしいと願いを込めた。他国の在住外国人や支援者は、武力でなく外交による解決を求め、避難者への就労支援拡充を訴えた。
ゼレンスキー大統領は原爆で被害を受けた広島市の歴史に触れ、核兵器の使用をちらつかせるロシアをけん制し、母国の惨状を伝えた。同国東部ドニプロから鹿児島市に避難したルドルフ・ヴィクトリアさん(49)は「ウクライナは他国の支援のみで守られる。大統領が広島に来たことで、核の脅威を改めて世界に思い起こさせた」と力を込めた。
娘で、ヴィクトリアさんを受け入れた同市の郡山虹夏(にか)=ルドルフ・ヴェロニカ=さん(26)も来日や演説を評価。「オンラインよりも、ウクライナ国民の声が直接届いたのではないか」と話す。
G7は「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との連携強化も打ち出した。同市で英語学校を経営するサム・ハッサンさん(57)は、グローバルサウスの一国、エジプトの出身。「エジプトは穀物輸入をロシアとウクライナに依存する微妙な立場だが、ロシアの力による現状変更は許せない。話し合いで戦争を終わらせる方策を各国の政治家は考えて」と求めた。
外国人向けの無料日本語教室を開くボランティア団体「ささえあいネットアトラス」(鹿児島市)は、ウクライナから避難した2家族を支援する。塚田ともみ代表(51)は「避難が長期化する中、行政の就労サポートが欠かせない。サミットを機に、生活者としての避難民に寄り添う環境整備をしっかり進めてほしい」と要望した。