熊本との県境、出征兵が無事を祈った山奥の神社。奉納された鉄板の矛が周りに残る。さびた数十本は、帰らぬ人の数という〈戦後77年かごしま 戦争の傷跡〉

2022/08/07 15:00
出征する人が参拝に訪れた素ケ嶽神社=伊佐市大口木ノ氏
出征する人が参拝に訪れた素ケ嶽神社=伊佐市大口木ノ氏
■素ケ嶽神社(伊佐市大口木ノ氏)

 太平洋戦争終結から77年目の8月15日を迎える。鹿児島県内各地に残る戦時中の遺構や犠牲者を悼む碑などは、戦争を今に伝える。体験者が年々減る中、あの悲惨な出来事を忘れないために、戦争にまつわる遺跡を記者が歩いた。

 熊本との県境に近い伊佐市大口木ノ氏の山中に素ケ嶽(須賀嶽)神社という小さな神社がある。召集令状を受け取った人が無事の帰還を願った場所だ。

 林道を四駆の車で市街地から1時間。さらに目印をたどり山を1時間登ると、二つの岩に守られるようにほこらが鎮座する。

 出征前に鉄板で作った矛を持って参拝し、無事戻って来たら再度訪れてその矛を持ち帰った。ほこらとその周りにはさびた矛が数十本残されており、帰還がかなわなかった人たちの無念さを感じた。

 往来が困難な場所にある。記事で戦死者の冥福を祈ってほしい。

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